2015年11月11日

費用対効果は?紙広告とインターネット広告の簡単比較

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

費用対効果が高いのは紙広告?インターネット広告?

参考:
30年あまりにわたる広告費推移(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(最新) – ガベージニュース

以前にもご紹介したこちらのグラフですが、インターネット広告が伸びて、4マス広告が減少傾向にあることがわかります。

そして、販促全般にあたるプロモーションメディア広告の割合が50%を超えています。

プロモーションメディア広告とは、セールスプロモーション広告のことを言います。つまり、以下の販促活動のことです。

・屋外広告
・交通広告
・折込チラシ
・DM
・フリーペーパー
・POP
・電話帳広告
・展示・映像・他

参考:日本の広告費50%を占めるプロモーションメディアとは?

このプロモーションメディア広告の中でも、昔から馴染み深いチラシやDM、フリーペーパーなど、比較的自由に文字やデザインを配置できる紙広告は、広告費6兆円のうち20%近くを占めています。

電通調べではインターネット広告は17%程なので、広告費としては同程度と言って良いでしょう。

インターネット広告費は急速に伸びていますが、その理由は費用対効果が高いためだと言われています。

では、従来の紙広告と比べて費用対効果にどのような違いがあるのか、4つの比較をしてみましょう。

紙広告とネット広告の比較1.需要へのリーチ

需要へのリーチとは、商品ニーズを持っている見込み顧客に対してどれだけ効率的に情報が届けられているかです。

折込チラシやフリーペーパー広告などは、特定の地域に対して配布する広告手法です。そのため、ニーズがある見込み顧客にだけ絞り込んでリーチすることは難しいでしょう。

一方、インターネット広告は「自動車保険 見積り」などの検索キーワードによって広告を出しているため、ニーズがある見込み顧客だけにリーチします。

さらに、リスティング広告であればクリックで広告費が課金されるため、商品ニーズが高い顧客の集客に対してのみ広告費を払うことができます。

ただし、これはニーズが顕在化している見込み顧客に対してのみ有効です。紙広告の場合、暇つぶしに見ることで潜在ニーズが顕在ニーズに変わることもあります。

紙広告とネット広告の比較2.効果測定

インターネット広告が急速に伸びているのは、この部分が要因の1つです。

折込チラシやフリーペーパー広告が、見込み顧客のアクションを追うためには、クーポンをつけたり、専用のフリーダイヤルを用意するなどの工夫が必要です。

一方、インターネット広告では、リスティング広告を使ったり、誘導したサイトにアクセス解析を設置しておくことで、広告費に対して何件の資料請求があったのか、問い合わせがあったのか、商品販売単価がいくらなのかなどが、比較的簡単にわかります。

また、見込み顧客がどんなキーワードで検索をしたのか、どんなキーワードで顧客が商品購入をしたのかということまでわかるため、効果測定ができるとともに、広告の改善ポイントも見えやすくなっています。

紙広告とネット広告の比較3.広告改善

紙広告は、一度印刷してしまうと、その広告を変えるためにデザイン修正、再印刷というコストがかかります。フリーペーパー広告などの紙媒体への広告の場合、再度広告出稿しなければいけません。

さらに、チラシで1週間程度かかりますし、雑誌への出稿の場合、発行日によっては1ヶ月、2ヶ月かかることもあります。

インターネット広告の場合、リスティング広告なら手元で設定を変更するだけなので、基本的に費用はかかりませんし、変更もその日のうちに行うことができます。

ただし、インターネット広告の場合、広告自体に改善費用が発生しなくても、誘導先のサイトに改善が発生する場合があります。

インターネット広告は、最終アクションのほとんどがインターネット上で行われます。問い合わせであれ、資料請求であれ、商品購入であれ、改善が必要な場合は、修正費用がかかります。

さらに、紙広告と違い、顧客が誘導されたサイトに詳細情報があるため、ユーザーのアクション率が悪ければ、デザインや打ち出し修正に費用がかかります。

そのため、紙広告よりも費用がかかってしまう場合もあります。

紙広告とネット広告の比較4.費用対効果

まず大前提として、紙広告のターゲットは商圏が狭く、来客が目的だとしましょう。ネット広告のターゲットは、商圏が広く、資料請求や商品購買が目的だとしましょう。

仮に、30万円の広告費を使うと何ができるかを考えてみます。

紙広告の費用対効果

30万円の広告費の場合、約4万枚のチラシを刷り、新聞折込ができます。

たとえば家族で行くような飲食店の場合、以下のような反響が期待できます。

仮に不特定多数向けの折込チラシを10,000枚配布した場合、反響は1人~30人ほど、つまり、折込チラシの反響目安は、0.01~0.3%程度と言われています。

参考:折込チラシの反響率は?効果測定に必要な反響率の考え方

反響率が0.1%だとすると、40組の来店が期待できます。飲食店の場合、来店=顧客になるため、仮に家族3人での単価が3,000円だとすると、

40組×3,000円=120,000円ということになります。

インターネット広告の費用対効果

30万円の広告費の場合、リスティング広告でクリック単価が100円だとして、300人がビジネスセミナーの受講生を募集するためのサイトに誘導されたとします。

効率の良いサイトであれば、指名ワードでCVR(コンバージョンレート)が10%、一般ワードでCVRが1%が目安にです。

取扱商品が一般的なものであれば、購買率や資料請求は3人ということになり、ピンポイントのサービス名であれば、購買率や資料請求は30人ということになります。

コンバージョンレートの目安を考える時にまず検索ワードが「指名ワード」か「一般ワード」で分けて考えなければいけません。(※「指名ワード」とは企業名や商品名・サービス名等、その企業が独自で有しているキーワードの事を呼びます)

参考:
コンバージョン率の目安はどのくらい?通常1%。ブランドワードは10%!?


さて、紙広告とインターネット広告の費用対効果がこれでわかるでしょうか。同じものを比較しないとわからないというご意見はごもっとも。

でも、仮に上記の例で、紙広告、インターネット広告の取り扱い商材が逆だった場合、費用対効果が非常に悪くなることはわかるはずです。

ビジネスセミナーは、一般人からするとかなり絞りこまれたサービスです。そのため、近隣4万世帯に折込チラシを配布したところで、ほぼノーヒットでしょう。

飲食店をネットで調べるなら、食べログやホットペッパーを使った法が簡単に比較できます。ネット広告でピンポイントにターゲットを絞っても、そもそも利用数は多くないでしょう。

紙広告とインターネット広告の簡単比較まとめ

折込チラシやフリーペーパー広告などの紙広告、リスティング広告などのインターネット広告には、それぞれシチュエーションによって使い分けるべき特徴があります。

そのため、単純にどちらが優れていて、どちらが劣っているとは言えません。

ざっくり分けると、商圏が狭く、単価が安めで、誰もが利用するor顧客が多い商品やサービスの場合は、紙広告が向いているでしょう。

反対に、商圏が広く、単価が高めで、ターゲットが絞られる商品やサービスの場合は、インターネット広告が向いているでしょう。

もちろん、商売のやり方や商品の打ち出し方によってはこの限りではありませんし、両方同時に活用しても費用対効果が合う場合もあります。

まずは目安として、それぞれの特徴を押さえてください。そして、トライ&エラーを繰り返してみてください。

世の中にあるほとんどの商売には、最適な広告のやり方と費用感があります。それを見つければ勝ちです。

ぜひ、自社にピッタリの広告手法を探して、工夫してみましょう。