2015年7月27日

販促、広告、広報の違いとは?予算・経費計上の考え方を比較

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販促、広告、広報の違いとは?

販促と広告、あなたは普段どちらの言葉を使っていますか?
売上を効果的に上げたい場合、どちらの予算をつけて活動していますか?

「どっちも変わらないんじゃないの?」

と思っているあなた、確かに販促と広告は似ていますが、別物と考えることが多いのです。

大手老舗企業で言うと、販促部と広告(宣伝)部は分かれています。ついでに、似たもので広報部という部署もあったりします。

販促、広告、広報の中では、なんとなく広報は違うもののようなイメージはありますが、具体的な説明をしろと言われるとなかなか難しいですね。

また、販促、広告、広報が普段どのような仕事をしていて、どのようなことに経費を使っているのかというのも曖昧です。

というわけで今回は、販促、広告、広報の意味の違い、仕事や予算の付け方の違いをテーマにお話したいと思います。

広告(アドバタイジング)とは

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まず、一番理解しやすい広告の定義ですが、広告は商品の特徴を広く告げることを目的としています。

テレビCM、ラジオCM、新聞広告、雑誌広告のマスメディアを使った宣伝行為(マス広告)がこの広告に該当します。

電車の中吊り、駅構内看板、バスのラッピングなどの交通広告、リスティング、バナー、SNSなどのネット広告などは実は販促の範疇に入ります。

企業の最終的な目的は商品販売によって売上・利益をあげることなのですが、広告は商品特徴を広く告げることで、認知させ興味を持ってもらうことを主の目的とします。

ただし、交通広告も広く告げることが目的に感じるため、広告の枠組みに入れてしまうという方もいます。マーケティングなので、その時の考え方で多少変わるということです。

販売促進(セールスプロモーション)とは

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販促は販売促進の略で、商品のニーズを引き出し購入意欲を高めて、販売を促すことを目的としています。

手法は何でも良く、商品を販売に繋げられれば販売促進と言えます。

一般的によく知られるものは、チラシ、パンフレットなどのSP(Sales Promotion)媒体、そして先程の交通広告とWEB広告が販売促進に該当します。

外向きの販促活動だけでなく、POPなど、店内の装飾も販促の範疇に入ります。また、クーポンを配ったり、プレゼントを用意する行為も販促に入ります。

よくわかるチラシ、リーフレット、フライヤー、ポップ(POP)の違い

販促はかなり幅広い行為になるため、少し分類してわかりやすくしてみましょう。

販促の種類1.消費者向け

消費者向けの販促は、極めて一般的なものです。

チラシやWEBなどを使った直接流通、試供品の配布、くじ引き抽選による集客、街頭ディスプレイ、セミナー等のイベント、デモ販売などが消費者向け販促です。

販促の種類2.流通チャネル向け

流通チャネル向けの販促は、消費者には関係がありません。

家電メーカーが小売業者に対して、インセンティブキャンペーンを行ったり、業者向けの展示会を行ったりすることが流通チャネル向け販促です。パンフレットを提供して販売を促す行為も販促ですね。

販促の種類3.社内向け

社内向けの販促は、社内に対する販促行為なので働いている全ての方に関係する場合があります。

営業マン向けのインセンティブ体型の確立や代理店制度の確立、社内表彰式などが社内向け販促です。

広報(PR)とは

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Marcelo Bielsa 2009-03-03 – マルセロ・ビエルサ – Wikipedia

さて、最後に広報です。広報は広告と似ていますが、商品の特徴を”間接的に”広く報せることを目的としています。

テレビ番組や新聞の産業欄、専門雑誌などに取り上げてもらうことや、そういったマスメディアなどの応対をすることが広報に該当します。

お金を払うわけではないので広告や販促のようにコストがかかることはありませんが、商品を取り上げる側に主導権があるため、意図した通りに商品PRができるかはわかりません。広報担当の腕の見せ所でしょう。

広告とは違い、まず他人の評価ありきで商品を広く報せることになるため、うまくPRできれば非常に効果が高い手法だと言えます。

仕事の観点から見る販促、広告、広報の違い

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次に、販促、広告、広報を仕事の側面から見ていきましょう。

まず販促ですが、たとえば販促部がある場合、主に販促物を制作したり販促に関する企画を立てたりすることが仕事になります。

実際に内部デザイナーによる制作を行ったり、外注を使って販促物を制作し社内の営業チームに武器として提供することもあれば、販促部で抱える部隊がイベントを行ったり、街頭宣伝をしたりというパターンもあるでしょう。

次に広告ですが、広告部、宣伝部などが広告取扱いの主担当部署になります。

広告はテレビ局や新聞社などとの折衝を主に行います。また、広告の企画に参加したり、実際の広告制作現場で内容をチェックすることが仕事です。

広告を継続的に行える程の大手企業ならではの部署と言えるでしょう。

最後に広報は、マスコミやメディア対応を主な仕事とする広報部となります。

前述した通り、テレビや新聞、雑誌で取り上げられた商品やサービスは、企業の思惑から外れた伝え方をされてしまうかもしれません。

また、良いものとしてではなく、最初から悪いものとして伝えられてしまうことがあります。たとえば車の事故原因、いじめに使われていたアプリなどです。

これらに対して、どのように対応するかを考える頭脳役であったり、マスコミに対しても直感的に応じる顔役になる必要があります。

予算・経費の観点から見る販促、広告、広報の違い

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さて、ここまで説明すれば、予算取りに関しても予想が付くでしょう。

まず広告費とは、実際にマス広告を利用するときの広告料金のことです。媒体を使った広告費用と思っておけば良いでしょう。

販促費とは、チラシやパンフレットの制作、イベントやキャンペーンの実施、販売促進マニュアルやインセンティブ制度確立のための準備などにかかる費用のことです。

広報費とはPR費用のことですが、CSRや環境保全活動、企業イメージを上げるためのキャラクターの設置、マスコミや業界関係者と良い関係を築くためのお付き合いなども広報費と言って良いかもしれません。

販促、広告、広報の違いまとめ

販促、広告、広報の違いは理解できたと思いますが、ここで1つ疑問が浮かびます。

「この3つって本当に分けた方が効率が良いの?」

確かに、万単位で人が存在する大手企業、何百何千という主力商品を持っている大手企業、事業形態が海外も含めて複数に分かれている大手企業などは、ある程度縦割りの仕事分解が必要になるのでしょう。

ただ、ほとんどの企業がこれには当てはまらないはずです。というわけで、近年は販促、広告、広報の仕事を1つにまとめて、マーケティング部というチームを作る企業が増えました。

マーケティング部の主な業務は、販促、広告、広報の業務に、以下のものが加わって成り立っています。

・リサーチ
・商品企画
・商品開発
・営業企画

要は、市場の意見を吸い上げて、商品企画や開発を行い、どのように販売していくのか戦略を練り、広告、販促、広報を使って、売上を上げていくための、総合サポート的な役割ということです。

実際、現場では、広告と販促、場合によって広報をミックスさせた「クロスメディア戦略」が売上を上げるための重要手法になってきているため、縦割部署制度では難しいでしょう。

実はシンプル!クロスメディア戦略のメリットと媒体組合せ事例

販促、広告、広報という違いは、将来的にはなくなってしまうのかもしれません。

ちなみに、私もチラシ、リーフレット、DMなどのSP媒体のことは、普段広告と呼んでいます。あなたもそちらの方が馴染みがありますよね?